連載 病院機能分析の実際・2
診療科ベンチマーク分析
森脇 睦子
1
,
伏見 清秀
2
1国立病院機構本部 総合研究センター 診療情報分析部
2東京医科歯科大学大学院 医療政策情報学分野
pp.648-651
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102592
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医療の質や病院経営を安定・向上させるために,診療実績等を類似の病院群と比較することで自院の課題を抽出するベンチマーク分析を行っている医療機関は多い.様々な課題に取り組むためには,意思決定が可能なマネジメント単位にその課題を掘り下げ,実践可能な改善策を見出すことが必要である.多くの病院では診療科単位で日々の診療活動を行い必要な意思決定を行っているので,そのマネジメント単位は診療科と言える.一方,多くのベンチマーク分析では,病床規模や設置主体別の他施設との比較やMDC別の診療分野別の比較が多く,診療科単位のベンチマークはあまり多く行われていないようである.それは,各診療科がカバーする疾患の範囲や疾患構成が,地域の医療ニーズや医師の専門性などにより,病院によって大きく異なることが多いためと考えられる.同じ名称の診療科であっても病院によって診療内容が大きく異なっていることが多いので,それらの間の単純な比較分析では臨床現場にとって有益な比較評価を導き出しにくい.
このような状況から,国立病院機構における病院機能分析では,DPCデータやレセプトデータに記載された診療科コードと診断群分類コード14桁(以下,DPC 14桁コード,非DPC病院以外の病院ではレセプトの病名,処置等からコードを付与)等を使い,診療科単位のベンチマーク分析として「類似度指数を用いた分析」と「仮想診療科を用いた分析」を開発した.本稿では,この2つの分析の概要と活用方法について述べる.
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