連載 医療管理会計学入門・9
価値企画の効果と課題―提供プロセスマネジメントとしての管理会計②
荒井 耕
1
1一橋大学大学院商学研究科
pp.994-997
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102417
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■価値企画の効果
今回は,採算面への影響評価を伴いつつ,価値企画活動を実践している狭義の医療サービス価値企画に焦点を当てて,価値企画の実践の有無による病院業績の違いを分析する.またそこから,「質」「プロセス効率性」「サービス採算性」という病院業績に,価値企画がどのような効果をもたらしているのかを推察したい注1).具体的には,前回紹介した筆者によるDPC対象病院へのアンケート調査(採算性データ)1)と,中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会によるDPC導入の影響評価調査(質および効率性データ)2)に基づき,DPCサービス価値企画の実践状況と病院業績との関係を分析する.
ここでの「質」とは,病院が各患者に対して適切な診療を提供しているかどうかに関する業績である.適切な診療提供の評価視点には多様なものがあるが,各病院共通に入手可能であり,かつ入院医療の質を相対的によく反映していると考えられることから,再入院に関わる2つの指標「6週間以内再入院率」と「6週間以内同病再入院率(6週間以内の同一病名での再入院率)」を選択する.
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