特集 高齢先進国のビジョン
介護人材をどう確保するか―日本版キャリアパスの検証
石橋 智昭
1
,
池上 直己
2
1公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 研究部
2慶應義塾大学医学部医療政策・管理学
キーワード:
介護職員
,
介護福祉士
,
キャリアパス
,
国際比較
,
人材確保
Keyword:
介護職員
,
介護福祉士
,
キャリアパス
,
国際比較
,
人材確保
pp.708-712
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102346
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介護保険事業に従事する介護職員数は,制度発足から5年目(2005年)には倍の112.5万人に達し,その後も年5%の増加を続けている(表1)1).しかし,介護保険の利用者が最大となる2025年には212~255万人の介護職員が必要であり2),さらに100万人規模の人材確保が求められている.ところが,一般労働市場の有効求人倍率が0.76倍(2012年3月)という状況においても,介護分野のそれは1.61倍3)と深刻な人手不足が続いており,人材確保の見通しは厳しい.その一方で,すでに資格登録者が100万人に達した4)介護福祉士の約4割が介護事業に従事しておらず,潜在的有資格者の就業促進も大きな課題となっている.
これらの状況に対して政府は,介護職員が生涯働き続けるための労働環境の整備に乗り出し,特に介護分野へのキャリアパス導入に重点を置いた施策を展開している5).その背景には,介護職員は経験を積んでも賃金が上昇しにくく,特に30歳以降の他産業との格差の問題がある.
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