Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
「脳神経内科(学)」は,若い研修医,医学生に自信を持ってお勧めすることができる診療科,学問です。理由としては,神経症候学や臨床神経学は非常に奥深く,一生をかけて行うに値する学問であること,神経救急から慢性の神経疾患の診療に至るまで間口が広く,自分の取り組みたい領域を必ず見つけることができること,患者さんに寄り添うことができ,1人の人間としても成長できること,ワークライフバランスを意識した働き方が可能であること,体力を要求される場面や技術・手技の習得が少なく,女性医師や高齢医師にも適した診療科であること,抗体医薬や核酸医薬などの臨床応用が目覚ましく,これから治療研究が著しく発展する領域であることなど,枚挙にいとまがありません。
ただいずれも真実ではあるものの,自分の経験を振り返ると,必ずしも簡単なキャリアパスではなく,ずっと無我夢中であったように思います。少し自身の履歴を書きたいと思います。学生時代に憧れた教授のもとで学ぼうと腎臓内科を志望しました。卒後2年目に脳神経内科医不在の病院で研修した際,筋萎縮性側索硬化症の女性患者さんを担当し,自分の無力さを痛感するとともに神経難病に取り組んでみたいと考えるようになり,進路を変更しました。入局後は神経症候学を身に付けるために,これと決めた教科書を繰り返し読み,論文を毎朝,誰もいない医局で音読していました。また優れた脳神経内科医とはどういう医師なのか,多くの先輩医師に質問をして回りました。症例報告にも積極的に取り組みましたが,決して1人で書けるようになったわけではなく,指導医に真っ赤になるまで書き込みをしてもらった原稿を何回もやりとりして学びました。いま振り返ると臨床神経学の基礎を身に付けるこの時期にどれだけ頑張れるかが,脳神経内科医としての成長に非常に重要であると思います。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.