連載 ドラスティックな病院改革!~事務長の孤軍奮闘日誌~・4
既得権益を守る老臣との戦い―時代を変える力とは
妹尾 朝子
1
1社会医療法人 光生病院 事務部
pp.569-571
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102311
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■上場企業からやってきた「厄介な私」
私は2008年に光生病院に入職した.それまでの12年間は,医療法人資本で立ち上げた株式会社の役員として,経営管理に携わってきた.公的介護保険が始まることを見据えて設立したその会社は,3年後には分社して,その後株式を公開するまでに成長した.思えば1996年頃にはすでにグループウェアのようなものを導入し,当時からペーパーレスを推奨,会議ではプロジェクターを使い,海外との交換研修会やワークショップも盛んに行っていた.会社の大株主は医療法人で,主軸は介護事業という特殊な分野ではあったが,組織運営やマネジメントに関しては先進的であり刺激も多く,ベンチャー企業の先端として勉強する機会に恵まれていた.また,それが私にとっては当たり前の日常だった.
光生病院に入職して以来,ずっと業務改革を中心に仕事をしてきたが,そのような目的で特別採用されたわけではない.そもそもは経営管理を離れ,最前線の現場で一職員として介護事業に専念してみたいと思っていたのだ.ところが,仮にも経営管理者として10年以上も企業を背負った人間は,そういう視点から物事を見る癖が抜けない.つまり,常に効率や合理性を追求し,職員の配置や損益を気にして仕事をしてしまうのだ.逆に言うと,仕事の出来栄えは,最終的に必ず数字で評価しないと落ち着かない.「とにかく頑張った」では,自分自身が納得できない.そのような「厄介な私」が配属された現場においては,改善すべき点が次から次へと目についた.
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