連載 臨床倫理コンサルテーション・8
臨床倫理コンサルテーションの方法(3)―分析・検討③
瀧本 禎之
1,2
1東京大学医学部附属病院 患者相談・臨床倫理センター
2東京大学医学部附属病院 心療内科
pp.964-966
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102162
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前回に続き,筆者の施設で使用しているコンサルテーションシート(表)について解説する.「判断能力」の欄は,「患者の意向」と併せて評価されるべきものである.なぜなら,患者の判断能力の有無は,患者が最善の意思決定者であるかどうかに大きな影響を与えるためである.これは倫理的問題を実際に取り扱う際には重要なポイントになるため,評価には慎重を期す必要がある.判断能力の有無については医師が判定することになるが,多くの医師はその経験を有しておらず,患者の判断能力の評価は,医療者にとって現実的な問題となりやすいと言える.実際,筆者が所属している患者相談・臨床倫理センターにおける,医療者からの倫理コンサルテーション依頼の中で,判断能力の評価に関連した依頼が最も多く,38%を占めている.そこで,臨床倫理コンサルタントとして倫理的観点から医療者を支援する者は,判断能力の評価方法について精通しておくことが望まれる.
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