特集 医療と介護はどう変わるか 平成24年診療報酬・介護報酬同時改定
医療と介護における情報の展開
田中 博
1,2
1東京医科歯科大学 疾患生命科学研究部
2地域医療福祉情報連携協議会
キーワード:
地域医療
,
介護
,
EHR
,
医療崩壊
,
医療IT
Keyword:
地域医療
,
介護
,
EHR
,
医療崩壊
,
医療IT
pp.424-428
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101971
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わが国はこれまで世界的にも高水準の医療を実現してきた.平均寿命は常に世界で1位であり,乳幼児死亡率の低さも常に上位(世界2位,2003年WHO)にある.しかし,国民医療費の対GDP比はOECDの31か国中,何と24位の低さ(2010年)にまで陥落した.すなわち,わが国は少ない医療費で世界最高水準の医療を達成してきたと言える.そして,それをこれまで支えていたのは「医療従事者の過剰な負担」であった.
しかし,小泉政権以降,昨年まで続いた社会保障費の削減政策をはじめ,新研修医制度導入,国民の医療過誤への権利意識増大などによって,医療従事者の過重負担が進行し,いまや「地域医療の崩壊」と呼ばれる事態が進行しつつある.さらに超高齢化に伴う慢性疾患の増大は,医療費の国民的負担の増加を推し進めていて,わが国の医療を取り巻く状況は深刻である.昨年の診療報酬改定ではいくつか対応がなされたが,その効果は小さかった.また,介護においても,2000年に始まった介護保険制度は,予想以上の高齢化の進展を受けて近年では抑制的政策がとられており,また医療との間において十分な連携がとれていないのが現状である.
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