連載 医療マネジメント 21世紀への挑戦・1【新連載】
病院崩壊からの再生―「匠と女将の世界」から「価値共創組織」へ
長谷川 敏彦
1
1日本医科大学 医療管理学教室
pp.296-299
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101936
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この20年は病院,いや医療システム全体の激動の時代であった.特にここ5年は「医療崩壊・病院崩壊」という流行語に象徴されるように,病院経営環境が大転換を迎えている.これからの20年,日本は有史以来の高齢者数を抱える超高齢社会に向け驀進し,これまでの20年以上に変貌することが想定される.特に医療については,あと5~10年で大きく様変わりするのではなかろうか.
しかし現在の混乱・未来の重圧に対して,日本の医療界にも,また政界にも未だその準備があるようには見えない.準備のための「課題の把握」「原因の分析」「将来の予測」「提案の検討」は,どれをとっても単純ではないからである.
実は,変革期に有用な手法とは「大きな枠組みによる俯瞰」の作業である.本連載では,まず第1回で導入として病院経営をめぐる過去と未来の20年間を歴史的に俯瞰し,そこに浮かび上がる現象を医療マネジメントの枠組みから捉えることにより,背後にある根本原因を追究する.その分析を基に,最新のサービス経営理論を用いて解決法を提案したい.残りの5回はこの第1回を基調とし,医療界を構成する医療マネジメントの各要素およびその背景について順次詳述していく.
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