研究と報告【投稿】
日本の民事医療事故裁判の傾向
山田 奈美恵
1
,
大磯 義一郎
2
,
永井 良三
3
1東京大学大学院医学系研究科トランスレーショナルリサーチセンター
2加治・木村法律事務所
3東京大学大学院医学系研究科循環器内科学
キーワード:
医療事故
,
医事関係訴訟
,
民事訴訟
,
医療安全
Keyword:
医療事故
,
医事関係訴訟
,
民事訴訟
,
医療安全
pp.215-219
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101915
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要 旨 日本の医療事故民事裁判について2004~2008年までの5年間の入手可能な全判決を分析した.判決は患者側認容率62.2%(うち一部勝訴が60.6%),敗訴35.4%,破棄差戻し2.4%であった.平均請求原因数は3.0件.争点は不作為過失行為が最多で,その過半数が認容されたが,作為過失行為,説明義務違反,期待権侵害は請求数,認容率とも半数以下だった.被告は病院等組織を被告として,個人被告がないものが過半数であるが,個人の場合,医師が95.3%であった.裁判の平均総請求額9460万円,平均認容額2798万円であった.患者は0歳と50歳代,60歳代が多く,性差はなかった.また,医療事故の88.2%が病院で起きていた.疾病による受診が多く,診療科は外科系が過半数で,原因行為も手術が最多であった.事故発生時間は平日,日勤帯が多かった.患者転帰は死亡が過半数であった.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.