特集 医師と法律 トラブル防止の心得と対策
医療行為における過失とは
永井 幸寿
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1トアロード法律事務所
キーワード:
民事訴訟
,
医療水準
,
注意義務違反(過失)
,
医師の裁量
Keyword:
民事訴訟
,
医療水準
,
注意義務違反(過失)
,
医師の裁量
pp.388-392
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100934
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医療事故の数
医療事故の民事訴訟の件数は年々増加している.1970年には新件は102件であったが,2004年には1,110件となり,約30年間で10倍以上増加している.ちなみに,刑事事件では警察に対する被害届の件数も増加し,1997年には21件だったものが2002年には187件と5年間で9倍に増加している(Q1).民事訴訟での患者側の勝訴率も1980年代には約25%程度であったものが,近年40%程度に上昇している.患者の勝訴率が低かった理由は,後記の①医療水準論(過失論)と,②医師裁量論,および③裁判所の医療鑑定に依存する体質によるもの,といわれた.しかし,近時の患者の勝訴率の上昇理由は,逆にこの①医療水準論(過失論)の変化,②医師裁量論の変化,および③鑑定依存体質からの脱却,にあると思われる.以下,民事訴訟に関する医療水準論(過失論)とこれに関連する医師裁量論について論じる.
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