特集 補完代替医療のこれから
がん治療における副作用対策としての統合医療の役割
下山 直人
1
,
橘谷 エルナン
1
,
関 恵子
1
,
鈴木 春子
1
,
津嘉山 洋
2
1国立がんセンター中央病院 手術・緩和医療部
2筑波技術大学保健科学部総合医療センター
キーワード:
緩和医療
,
鍼灸
,
神経障害性疼痛(しびれなど)
,
WHOがん疼痛治療指針
,
全人的な苦痛緩和
Keyword:
緩和医療
,
鍼灸
,
神経障害性疼痛(しびれなど)
,
WHOがん疼痛治療指針
,
全人的な苦痛緩和
pp.904-907
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101568
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2007年に施行されたがん対策基本法1)において,がん患者の苦痛を緩和するために,科学的根拠に基づいた緩和ケアが,早期からどこでも行えるようにすることが明言された.がんの痛みには,腫瘍そのものが起こす痛みだけでなく,治療に伴う痛みもある.むしろがんの診断時から緩和ケアを行ううえでは,治療に伴う痛みの緩和は重要な役割と考えられている.がんの痛みに対しては,モルヒネなどのオピオイドを中心としたWHOがん疼痛治療指針2)が普及しているが,それだけでは十分でなく,また,がん治療の副作用による痛みの対策,オピオイドの副作用対策においても,質の向上が求められている.
統合医療としての鍼灸の作用は,がんそのものが引き起こす強い痛みに対するよりも,がんの神経圧迫やがん治療に伴う神経障害性疼痛などの,薬物療法に反応しにくい痛みに対してのニーズが強く,薬物療法と併用することで,治療の質を高めることが可能となる.緩和ケアが末期医療と考えられていた時代から,緩和ケアは臨床研究に馴染まないものと考えられてきたが,早期からの緩和ケアが求められている現在,緩和ケアにおいても,統合医療としての鍼灸においても,その痛みに対する有効性を科学的に評価することが必要となっている.
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