Japanese
English
第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
治療
うつ病治療における補完代替療法の可能性
Treatment of depression with complementary and alternative medicine
清水 雄一郎
1
,
村岡 寛之
1
,
稲田 健
1
Katsuichiro SHIMIZU
1
,
Hiroyuki MURAOKA
1
,
Ken INADA
1
1北里大学医学部精神科学
キーワード:
補完代替療法(CAM)
,
セントジョーンズワート
,
オメガ3脂肪酸
,
鍼灸
Keyword:
補完代替療法(CAM)
,
セントジョーンズワート
,
オメガ3脂肪酸
,
鍼灸
pp.1153-1161
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131153
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日本および世界各国のうつ病治療ガイドラインで,うつ病の薬物治療には抗うつ薬が推奨されている.一方で,抗うつ薬による寛解率は6割程度にとどまり,副作用のために服薬が継続できないこともある.従来のモノアミン系ではない機序の抗うつ薬も開発されており,今後,治療の発展が期待される.一方,抗うつ薬以外の治療として補完代替療法(CAM)が注目を集めている.CAMとは健康状態の管理に使用される多様な製品や治療法を指す.CAMは自然食品のセントジョーンズワート,ビタミンB群,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA),オメガ3脂肪酸,東洋医学の鍼灸と漢方薬などが含まれる.2000年代に入ってから研究論文の報告数が増えており,海外のガイドラインでもCAMを治療選択肢のひとつとして推奨しているものもある.CAMは抗うつ薬治療の限界を超えることが期待される反面,現時点では抗うつ薬と比較してエビデンスレベルの高い有効性報告は限られている.そのため,CAM治療の限界の理解も必要である.

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