連載 リレーエッセイ 医療の現場から
こどもが主役の医療を求めて―チャイルド・ライフ・スペシャリストの理論と実践
藤井 あけみ
1
1千葉県こども病院
pp.699
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101519
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チャイルド・ライフ・スペシャリスト(以下,CLS)とは,1950年代にアメリカで始まり,北米を中心に普及してきた小児医療専門職です.日本での活動は1998年に開始され,現在は約20人が大学病院やこども病院で働いています.CLSになるための教育はアメリカまたはカナダの大学,大学院で受けることができ,Child Life Council(CLC)という団体が資格認定試験を実施しています.受験資格はチャイルド・ライフ論,乳幼児発達学,青年心理学,家族関係論,基礎医学,医療社会学などの10以上の関連科目を習得し,認定CLSの下で480時間以上の病院実習を行うこととなっています.
CLSの理念は,「こどもは力のある存在である」という考え方です.こどもは無力な存在,からっぽの器ではなく,宝物がいっぱいつまった玉手箱のような存在です.こどもに元々備わっている,感じる力,考える力,困難を乗り越える力が十分発揮できるように手助けするのがCLSの役割なのです.
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