特集 産業は病院市場をどう見るか
巻頭言
神野 正博
1
1社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院
pp.369
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101441
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時代の潮目が変わってきた.莫大なエネルギーとそれによって稼働する機械力を投入し,そして日々怠ることのないカイゼンの努力の結果で労働生産性を向上させてきた製造業は,それによって生産した内需をはるかに凌駕する大量の物品を外国に販売して利益を得てきた.自動車しかり,薄型テレビしかりである.その外需のバブルがしぼんだ時,その高い生産性を維持するためには工場を閉鎖し,雇用を切り捨てざるを得ない状況に陥っているのである.
これに対して「生産性が低い」と言われてきたサービス産業,その中でも最も労働集約型とも言えるわが医療や介護・福祉の分野……日本人による日本人への内需サービスであり,しかも莫大なエネルギーや機械力を使用しない,極めて環境効率性のよい分野だったのかもしれない.外需から内需,労働生産性から環境効率性へと,これからパラダイムシフトがわが国,いや世界に起こりつつあるようである.
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