病院経営Q&A・15
マーケティングと病院経営
川渕 孝一
1
1国立医療・病院管理研究所医療経済研究部
pp.274-276
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900329
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Q うちの病院は,次のような問題をかかえているが,何かよい手立てはないだろうか.①全体に患者が減っている.②産科,小児科の病床利用率が特に低い.③病院の患者数には,大きな季節変動がある.すなわち,夏場が著しく少なく,冬場が多い(正月を除く).④以前には,社保,労災の患者が多かったが,最近は,国保,生保,老健の患者の割合が増えている.⑤入院・外来とも65歳以上の患者の占める割合が増えている.特に80歳以上の患者の急増ぶりが著しい.⑥年齢の若い患者は,近くにできた新しい病院に移っている.⑦新患比率,すなわち新外来患者数を外来患者延べ数で除した比率が伸び悩んでいる.⑧職業別に見ると,以前は会社員や公務員が多かったが,最近は無職が増えている.⑨医師は高齢化しており,士気の低下が著しく,当院は医師の態度の悪い病院として評判になっている.⑩看護職も厳しい労働条件と医師からの叱責などで働く意欲をなくしている.病院は常に看護婦不足の状態で,新規採用してもきてくれる看護婦はいない.⑪そのため患者からの不満が募っている.退院する患者にインタビューしたところ,“看護婦は不親切で,食事はまずく,部屋は狭すぎて気が滅入った.こんな病院には2度と入院したくない”というコメンドが多い.⑫以前は,ポランディアで患者の食事介助に来てくれる学生や主婦がいたが,今は全くいない.
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