連載 リレーエッセイ 医療の現場から
院内患者会
田中 祐次
1
1東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門
pp.375
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101177
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日本初の患者会は,1948年の結核患者による「日本患者同盟」です.その後,多くの患者会ができました.患者会と聞くと,何か不満を持った患者の圧力団体,というイメージを持たれると思います.事実,そういった団体もあり,メディアでも取り上げられています.しかし,全国に3,000~4,000近く存在するという患者会の多くが圧力団体であるのか,私自身は疑問です.全国の患者会情報を集めた『がん! 患者会と相談窓口全ガイド』(いいなステーション編)を見ると,圧力団体ばかりではないような気がしてきます.
患者が訴えていることの1つに,確かに医療への不満はあると思います.公害問題,手術の取り違いやミスの追及などなど.しかし,それ以外に患者が求めているものとして,「情報」があります.以前は情報がなかなか得られず,専門家(医師など)を呼んでの講演会が行われていました.もちろん今も行われています.現在は,インターネットなどの発達で情報があふれ,逆に信頼できる情報がわからなくなってきています.そこで,講演会などで信頼ある人(専門家)を講師に迎え,専門知識の伝達が行われているのです.このように,「情報を得たい」という患者会も多いと考えます.
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