連載 ヘルスケア環境の色彩・照明・10
照明5 患者視点でつくる光環境
手塚 昌宏
1
1ヤマギワ株式会社PDC
pp.810-811
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101026
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安らぎと開放感を与える病室の照明
病室は入院患者が最も長時間いる空間であることは間違いない.患者が病院のアメニティを考える際に,病室環境は関心の高い項目である.そして,病室の快適性を考える際に患者が最も高い関心をもっているのが光環境であることを再認識しなくてはならない.
まず大切なのは,自然光がどのように病室に入ってくるかである.不快なまぶしさや熱感を感じさせない自然光が,それぞれのベッドに入ることが望ましいのは言うまでもない.多床室の場合,廊下側は自然光の入り方が悪くなる.したがって,質のよい全般照明が各病床に対してまず必要になる.以前イギリスのPFI最大級という病院の建設現場を視察した時,その病室の天井には照明器具がなく,天井への間接照明と患者の手元への光が一体になったブラケットが壁に付いていた.「患者の視点で考えた場合,必然的に天井が優しく明るいこのような照明になった」と設計者が説明していたことを思い出す.病室に対するこのような照明の考え方は,現在,国内でも海外でも同じである.
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