連載 ヘルスケア環境の色彩・照明・4
照明2 色彩を美しく,人を美しく見せる光
手塚 昌宏
1
1ヤマギワ株式会社PDC
pp.278-279
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100517
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■色彩計画は光源で変わる
店舗で見た商品の色が,購入後,家や屋外で見た時に違う色に見える.これは,多くの人が経験されていると思う.ものの色の見え方は,光(光源)と物体の色との関係で変わる.それぞれの光源の持つ紫から赤のエネルギー分布により,物体の反射,吸収が異なるため違った見え方になることがある.同じ見え方を求める時は,最初に見た時と同じ光源で見ることである.例えば,色彩を決定するプレゼンテーションの部屋と実際の部屋の照明光源が異なれば色の見え方は違うものである.
その間違いをできるだけ少なくするためには,光源の色彩の再現性を評価する平均演色評価数(Ra)の高い光源にすること(最低でも80以上の光源)も一つの方法である.また光色によっても異なって見えるので,光色を数字で表す色温度を参考にする.青白い光源は色温度が高く,オレンジ色の光源は低い.暖かい雰囲気,涼しい雰囲気,いずれも光色の調整だけで大きく変わるので,照明計画・色彩計画においては十分に検討したほうが良い.
内装材が木質または暖色に統一されている場合は,あまり色温度の高い青白い光源で照明するとその良さが出てこないので,暖かみのある低い色温度の光源を使用することが効果的である.隣り合う環境の照明光源が大きく異なると同じ色彩も異なって見えることもある.また,内装色の反射によって,空間全体の色も変わる.ホテルの宴会場などの赤い絨毯によって天井が赤く染まって見えるのはその例である.色彩を美しく,色彩計画の良い効果を得るためにはそれを生かす照明計画が存在する.
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