連載 リレーエッセイ 医療の現場から
がん治療を支える―早期からの緩和ケア
有賀 悦子
1
1国立国際医療センター緩和ケア科
pp.803
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101024
- 有料閲覧
- 文献概要
緩和ケアというと,終末期医療の代名詞だった時期がありました.がん対策基本法にも盛り込まれた「早期からの緩和ケア」.“緩和ケアは大切” と言いつつも,終末期医療だと思っていた緩和医療が,早期からどのような役割を果たすのか,中々ピンとこない医療者もいらっしゃるのではないでしょうか.私たちが支えた患者さんの中に,この「早期からの緩和ケア」のモデル的な患者さんがいらっしゃいました.
60代の膵がんの女性でした.都内のある大学病院で診断され,塩酸ゲムシタビンの外来化学療法と疼痛コントロールを受けていました.痛みと嘔気が強く,緩和ケア科外来に移りたいと問い合わせがありました.急性期病院での緩和ケアですので,基本的にがん治療を施行されている方を対象とした緩和ケア外来です.「そちらに移って,症状の緩和と可能ならがん治療も平行して続けたい」とのこと.まずは消化器科を受診してもらいました.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.