特集 介護保険施設と医療のあり方
医療施設からみた介護保険施設のあり方
武久 洋三
1,2
1徳島県療養病床協会
2医療法人平成博愛会博愛記念病院
pp.116-120
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100482
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今回の療養病床の再編には,実は医療制度全体をひっくり返すような深い意図が隠されている.それは急性期病床の改革である.急性期病床が「いわゆる一般病床」でないことは実体としては皆わかっているものの,制度上は同一となっている.ここにメスを入れ,「本当の意味での急性期病床」を確立しようとしているのである.これは大変結構なことだと思うし,そこに多くの人的・物的医療資源を投入することに反対する国民はいない.患者の流れの先にある介護保険施設は,川上の病院の状況により大きく対応を変えなければならないことは当然であろう.
現在約30万床と言われるDPC病院は,疾病別の包括報酬となるため疾病の治療に専念し,“まるめ”の中で利益を上げるために,その疾病の治療に直接関係のない検査や治療は行わず,ひと通りの急性期治療が終れば,直ちに退院してもらうという傾向になってくる.そうなると,それを受ける慢性期病院はDPC制度のあおりを受けることになる.今はDPC病院も入院日数により収入が増える仕組みになっているが,近い将来,本当の意味での診断群別包括支払い制になるといわれている.そうなれば,大腿骨骨折の症例についても,手術して1~2日で他の回復期リハ病院へ転院させたほうがDPC病院は効率がよいわけである.場合によっては,様々な手術の術後フォローまでも慢性期医療の役割となってくる可能性も出てくる.そうなると,急性期病院とそれをフォローする慢性期病院との密接な連携が必要不可欠であり,慢性期病院にもそれだけの能力が備わっていなければならないということになる.
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