グラフ
地域医療再生と家庭医療のコラボレーション―三重県立一志病院
pp.713-716
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101005
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三重県立一志病院は,津市街地より車で50分ほどの津市西部地域の山間に位置する自治体立病院である.市町村合併で住所は津市となったが,旧白山町(人口約13,000人)と旧美杉村(人口約6,400人)の地域住民を対象とする,地域中小病院である.
同院は以前より,コミュニティバスの停留所を病院敷地内に設置したり,近くの小学生等がボランティアで花壇や植木の手入れに訪れたり,また職員がボランティアで病院内の飾りつけやごみ拾いを行ったりと,地域住民に身近な病院として愛されてきた.実際にコミュニティバスの運転手が「利用者に高齢者が多いので,バスの乗降には十分な時間を確保し,雨の日には滑らないようにする等,利用される方への安全に配慮しています.運転手には安心が要求されます」とさりげなく発言する等,関係者の意識も高い.また「健康まつり」や「音楽療法」,「健康教室」,「糖尿病教室」等,予防医療にも力を入れて地域住民の健康に配慮した包括医療を展開してきた.しかし,このような病院も昨今の人材確保と経営難の難局に直面し存亡の危機が続いている.特に常勤医師が確保できるかどうかは喫緊の課題として数年前よりその対策に追われていた.こうした状況の打開策として,内科診療部門を家庭医療の教育と実践の場とすることで,三重大学総合診療部の全面的な協力を得ることとなり,2007年4月より新体制がスタートした.
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