教室だより
三重県立大学
大串 典雅
1
1三重県立大学
pp.329
発行日 1969年4月20日
Published Date 1969/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200662
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歴史と研究
西に鈴鹿山脈,東に広大な伊勢湾を臨み,静かな流れの阿濃川河畔に建つ三重県立大学医学部は,昭和19年三重県立医学専門学校として発足し,初代皮膚泌尿器科学教授として矢野登教授が就任,われわれの教室が誕生した。以来温厚誠実な矢野教授を慕い青雲の志を抱く多数の若人が入局し育つて行つた。主な研究は尿路結石症に関するものであり,昭和29年以来は文部省結石研究班の一翼を担い尿石発生因子の研究,尿石溶解の研究等行なつてきた。また本学塩浜分院においては森幸夫助教授を筆頭に膀胱尿管逆流現象の研究に取組んでいる。
昭和38年泌尿器科学教室は皮膚科学教室と分離独立し発展の道を歩んでいたが,不幸にして昭和42年11月矢野教授の急逝に遇つた。この時大洋に舵を失なえる小舟のごとく,惑う教室員をしつかり掌把し強い心の支えとなつたのは,当時十数年間にわたり矢野教授の片腕として教室の発展に心血を注いできた多田茂助教授であつた。多田助教授は全教室員の強い要望にこたえ昭和43年3月,第2代泌尿器科学教授に就任し,前教授の遺志を継ぐ新らたな教室造りに専念している。現在の研究は尿石症を初め,膀胱癌の酵素学的研究,尿路感染症の研究等多岐に渡つて行なわれている。
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