特集 技術革新と競争激化―特定保険医療材料の今後
血管外科医から見た特定医療材料:ステントグラフトと末梢ステントをめぐる諸問題
大木 隆生
1,2,3
1慈恵会医科大学外科学講座
2慈恵会医科大学血管外科学講座・診療部
3アルバートアインシュタイン医科大学外科
pp.664-670
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100994
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筆者は1995年より米国ニューヨーク州アルバートアインシュタイン医科大学血管外科で勤務している.1997年より血管内治療部部長,2001年より血管外科部長として臨床活動を行ってきた.さらに,2006年からは慈恵医大血管外科診療部長となり,アルバートアインシュタイン医科大学の職は兼任とした.そのため2006年4月からは,毎月1週間ニューヨークで,残りの3週間は東京で診療・手術をしている.こうした立場故に,日米の臨床現場における特定医療材料の諸問題をリアルタイムで実感できる.例えば,ニューヨークの手術室,カテ室で治療を行う際に,自由にXXXのステント,YYYのカテーテルと使える一方,東京に戻ると,使用できるデバイスが極端に少なく,診療に大きな制限がある.いわゆるデバイスラグに日常的に直面しているのである.デバイスラグのために日米の手術件数に大きな差が生じており,有益なデバイスを日本の患者が享受できていないという切実な問題がある.例えば,後述する腹部大動脈瘤ステントグラフト術の日本における手術件数は人口当たり米国の170分の1であり,腎動脈ステント術は42分の1である(図1).本稿では,日米で活動する筆者が臨床現場で感じる特定医療材料に関連する問題を専門としている血管外科領域の実例を挙げて概説する.
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