連載 リレーエッセイ 医療の現場から
知識の扱い方
池田 恭敏
1
1茨城県立医療大学付属病院作業療法科
pp.619
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100984
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私が作業療法士になって17年が経とうとしています.はじめの5年間はリハビリテーション専門病院で専従の作業療法士として勤務し,主に身体に障害のある成人の患者さんのリハビリテーションに関わってきました.その後の12年間は,茨城県立医療大学の作業療法学科の教員として在職しつつ,隣接する付属病院(リハビリテーション専門病院)で作業療法士を兼務し,現在に至っています.
作業療法では,単に機能障害の改善を図るのみではなく,日常生活動作能力や社会生活力等の改善を図り,地域社会で患者さんとその家族が主体的な生活を営むことのできるように援助することが重要な仕事であり,作業療法のIdentityでもあります.そのため,必要な知識は,疾病に関する医学知識はもちろんのこと,運動(力)学,認知心理学,人間発達学,人間工学,福祉工学,社会学,医療安全管理学,関連法規,作業療法評価学,作業療法技術学など多岐に渡ります.また,医療の進展や医療・介護保険制度などの改定により,作業療法士として医療従事者として必要とされる知識は拡大の一途を辿っています.近年は,わかりやすい専門書が多数出版され,疾患ごとのクリティカルパスなども示され,インターネットからの情報も得やすくなり,知識を増やすことは,私が学生の頃とは比べものにならないくらい容易な時代になっています.むしろ知識を貯蔵する脳の容量が既に限界に達しています.
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