特集 派遣は人材確保に役立つか
民間紹介会社における医師派遣の考え方
医師市場の流動化―大学医局が機能する時代は終わった
中村 敬彦
1
Yoshihiko Nakamura
1
1株式会社メディカル・プリンシプル社
pp.1004-1006
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100939
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■「大学医局力」の後退で生じる隙間を埋める
各地の基幹病院から悲鳴が聞こえてきた.「医師を紹介してもらえないか」という悲鳴が当社に何十件も.大学医局からの “医師引きはがし” が臨床研修指定病院にも及んできたのだ.今まで大学ジッツ先は,医局から医師を派遣してもらう代わりに,医局員の雇用保証機関,低賃金である大学病院で働く医局員の所得補完先として機能し,きわめて緊密な相思相愛の関係を大学医局とつくってきた.しかし,今まさにその相互依存関係が崩壊しかけてきたといえる.
そうした状況に拍車をかけたのは卒後臨床研修の義務化だ.従来,多くの医学生はストレート研修という形で卒業大学の医局に残り,一人前になるための修行をした.いわゆる門前の小僧扱い同然に.だが,初期研修で期待されるプライマリ・ケアの教育は,大学がいかにも苦手としている分野.結局,卒後研修の義務化で,医学生の多くが市中にある大手病院で研修をする道を選ぶこととなった.今まで想像もしていなかった事態だ.都内にある歴史ある私立大学でも,卒業生が大量に市中の病院に流れてびっくり仰天したという顚末が世の中を驚かせた.
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