Japanese
English
特集 In vitro運動系
総説
原形質流動のモデル化
Modelling of cytoplasmic streaming
黒田 清子
1
Kiyoko Kuroda
1
1大阪大学理学部生物学教室
pp.334-340
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903343
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生きている正常の細胞を解体して,運動に関する機能を残したまま,運動と直接関係のない不要の部分を順次除外して,より簡単なモデル細胞系を用いることは,純粋の既知の物質を組み合わせて運動を誘起するモデル系とは別の方向からのアプローチとして,細胞運動の解明に有効な手段と考えられる。
Szent-Györgyi1)によって開発されて以来,グリセリンモデルは筋の生化学,生理学の分野のみでなく,非筋細胞2)の運動機構の研究に広く用いられるようになった。また非イオン界面活性剤で細胞の膜を除去した系も,筋収縮3)のみでなく,べん毛4),線毛5)の"Tritonモデル"など,輝かしい成果を挙げるのに寄与している。さらに,筋細胞の膜を機械的に剥がした"Skinned fiber"6)は細胞質をできるだけ傷つけずに膜を取り去るという意味で,より生理的なモデル系である。この"名取の線維"を用いて筋収縮に関する多くの重要な生理機能が明らかにされた。ここ数年来,非筋細胞でも膜を機械的に脱がした系が次第に用いられるようになった。これら脱膜系(demembranated system)が細胞運動の機構の解明に果たす役割は大きいと思われる。
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