特集 パブリック・リレーションズ―地域の人の期待
患者さんと地域住民への病院図書室サービス
山室 眞知子
1
Machiko Yamamuro
1
1特定医療法人京都南病院図書室司書
pp.919-922
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100918
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京都の台所というべき京都中央市場がある七条通りの商店街は朝から仕入れの車が並び,昼から夕方にかけては地域の人々の買い物客で賑わう.その行き帰りに買い物袋を下げて,病院正面玄関の横のエレベータで昇っていく人,降りてきたエレベータから本を抱えて自転車で帰っていく人,この人々は京都南病院(以下,当院)の図書室を利用している地域に住む人々である.「病院の施設は広く地域住民に公開するべき」という当院の基本方針に即して,1966年に新病院がここに設置されて以来,図書室のほか職員食堂,多目的ホールが地域住民に公開されている.医師ら医療スタッフのための医学図書室として,また患者さんや地域の人々にはミニ公共図書館としての役割を果たしているのが当院図書室である.
■京都南病院における図書室の公開
急速に進展を遂げる医学に医療技術も高度化・細分化される.医師,看護師らの医療スタッフへの最新の医学・医療情報の提供と必要な文献の迅速な調達,また利用者からの質問を調査するレファレンス・サービスなどを一手に引き受けて,患者さんの診療に側面から協力しているのが病院図書室である.当院図書室は本院が現在地に移転した1966年に医療スタッフの研修を目的に設置された.しかし1970年から医学専門書のみを所蔵するという病院図書室の慣例を外して,医学専門書の他に文学書など読書の本も揃えて入院患者さんと地域住民へ公開した.毎朝,開室と同時に新聞を読みに来る患者さん,月刊雑誌の発売日を待って借りに来る近所の主婦や高齢者,毎日病院の職員以外の多くの人々に利用されている.
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