特集 パブリック・リレーションズ―地域の人の期待
医療機関における健康情報ライブラリー機能
西村 昭男
1
Akio Nishimura
1
1医療法人社団カレスアライアンス
pp.914-918
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100917
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わが国の医療は地域公共サービスの枠組みのなかでほとんど官制統制されている.そして病院は設立母体の違いを越えて等しく公益優先で地域の人びとの期待に応えるべきとされている.このような視点から病院事業におけるパブリック・リレーション(PR)は幅広く考えなおされるべきである.そして今後は PR から CSR (Corporate Social Responsibility) への方向性が強く求められる時代が予測される.
遠い昔に「医療は情報そのもの」を半信半疑で聴いた覚えがあるが,この表現の妥当性は昨今の医療 IT 化の推進などによって実証されつつある.国民が急に受療者の立場に置かれた時,自身や家族にとって不安要因の最たるものは情報の不足とその理解の困難性とされる.一般に医師はインフォームド・コンセントなどによって相手の納得を確かめたと信じがちであるが,現実には理解された部分はごく僅かな場合がほとんどと言われている.これは医療保険制度において説明行為に適切な対価が支払われていないこと,さらには医師への教育課程において対話やコミュニケーションの能力を重視する姿勢がないことによると指摘され,真に残念な事態と言わなければならない.
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