特集 急性期入院はDPC適用になるのか
DPCへの対応の実際
鹿児島大学病院の事例―コストコントロールを支援するシステムの開発
宇都 由美子
1
,
熊本 一朗
1
Yumiko Uto
1
,
Ichirou Kumamoto
1
1鹿児島大学医学部・歯学部附属病院医療情報部
pp.658-661
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100865
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2003年度より全国82特定機能病院に,診断群分類による包括評価(DPC : Diagnosis Procedure Combination) 制度が導入された.DPC は一定のばらつきを許容しつつ,できるだけ医療資源の投入パターンが均一な診断群分類に患者を振り分けることで,病院間ならびに病院内での診療内容の比較評価を可能とする標準化の一手法である1).鹿児島大学病院においては,病院職員の急速かつ大胆な意識改革を行い,院内における体制確保,さらに院内 IT 化の充実,推進により,制度開始の2003年4月から対応することができた.
DPC は医療の標準化と効率化を目指す管理ツールとして有用であるが,一方で制度開始後間もないため,1年ごとに見直しが行われ,その都度大幅な改定が予測されている.また,日額包括払いという特定の支払い方式と結びついたことで,1日当たりの収入の上限が決められるようになったため,コストコントロールが極めて重要な課題となった.このコストコントロールの実現については,2004年度から移行した国立大学法人化に伴う財務会計の導入でさらに重要性が増した.すなわち,地域医療の中核をなす大学病院においては,これまで以上に地域に密着しながら大学病院としてのミッションを果たすと同時に,管理会計の導入による経営の健全化に努める必然性が高まった.
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