Doctor Interview My Practice
鹿児島大学病院眼科
山下 高明
1
1鹿児島大学病院眼科 客員教授
pp.53-56
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.64_0053-0056
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私が統計学と出会ったのは,2009年に英国のMoorfields Eye Hospitalに留学したときです.それまでは大学病院で緑内障専門外来を5年間ひとりで担当しており,臨床経験は豊富でしたが,実際には多忙を極める仕事で行き詰まっていたと思います.それを見かねた上司の坂本泰二教授が,当時の岐阜大学の山本哲也教授に紹介してくださって留学が実現しました.坂本教授からは,留学前に「留学先で成果を上げることにこだわるよりも,よい人間関係を築いて,何か一つでも研究に役立つことを身に着けることを目標にしたらいいよ」とアドバイスをいただきました.留学先であるGarway-Heath教授の研究室は,統計学者と眼科医が協力して論文を作成していました.留学して同僚に「統計学が理解できなければ,ここではずっと下働きになるよ」といわれ,統計学の英語の教科書を一日中勉強していました.私は英語が苦手でしたが,先に留学されていた朝岡亮先生(現 総合病院聖隷浜松病院眼科 主任医長)が公私にわたり助けてくださったおかげで,1年間で研究に役立つ統計学の基礎を学ぶことができました.同時期に在籍していた若い統計学者が,英語のできない私に数式で統計を丁寧に教えてくれたことも幸運でした.留学先で人に恵まれ,統計学を身に着けることができたのも坂本教授のご助言のおかげなのですが,数年経ったときにその話をしたところ,「そんなこといったかなー」といつもの調子で返されました.留学でお会いした先生方とはその後もお付き合いがあり,私の留学を助けてくださった先生方に本当に感謝しています.
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