特集 相補・代替医療へのニーズにどう対応するか
相補・代替医療と医療経済
小野 直哉
1
Naoya Ono
1
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康要因学講座健康増進・行動学分野
pp.384-389
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100814
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日本の国民医療費は,主要先進工業国中,対 GDP 比で約7%と最も低い.しかし,厚生労働省発表による2002年の日本における出生率は1.32と過去最低を更新し,長期的にも1.39止まりが予想される.65歳以上の日本の人口は2025年に約3,500万人と,2000年に比べ6割近く増える.つまり,2025年に4人に1人が65歳以上になり,2050年には3人に1人となる.急速な超高齢化社会の進展に伴う高齢者医療費の急増と,少子化に伴う今後の就労人口および納税人口の減少を背景に,日本の医療財源が逼迫していくのは必至である.
厚生労働省試算では,現状の医療サービスを継続すると,国民医療費は2025年に約70兆円となり,対 GDP 比で12%を超え,現在の1.7倍もの規模になると予測されている.これは現在の20代や30代,40代が老人医療の恩恵を受ける頃に,日本の国民医療費が国家財政に匹敵するまでに膨れ上がり,国の運営自体が立ち行かなくなる可能性を示唆している.少子・高齢化の加速は,年金や医療など社会保障制度全体の再構築を迫っている.
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