連載 病院管理フォーラム
事務長の病院マネジメントの課題 急性期病院の立場から・20
病院変革の嵐と情報洪水の狭間で
鈴木 紀之
1
1筑波メディカルセンター病院事務部
pp.943-945
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100732
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病院経営現況
2003年8月31日を期限として,病床の区分届出が病院に求められた.いよいよ,日本の医療における病院のあり方に手をつける段階に入るのだと実感する.もちろん,従来から,様々な形で日本における医療のあり方,診療の体制,病院の機能の検討がなされ,地域における医療計画も見直し策定がされてきている.また.医療法,診療報酬の改定もなされてきているが,今回の病床区分届出は,日本における病院の機能を療養型と急性期型に大きく規定していく,極めて重大な手順になると認識される.
この届出は,単なる手続きにとどまらず,病院においては,自院の今後の運営に対する決意と覚悟を表出するものであり,利用者・住民にとっては,自身・家族の生命と健康を託す医療体制構築の出発点になるはずの,大きな節目になることであろう.当然,各病院では,慎重な検討協議を経て対処されたことであろうが,病院の意思決定に当たっての合意形成プロセスそのものが,今後の医療経営の難局に立ち向かう第一歩といえる.意思決定に当たっては,地域の医療需要,地域性,自院の理念・基本方針や,職員の意識,マンパワー確保の見通し,資金計画,保有する資産,負債の評価など,様々な要素を勘案して決定を見ていると思われる.
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