特集 亜急性医療は存在し得るか
フランスの中期入院医療施設について
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
pp.1000-1003
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100712
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疾病構造の変化と施設の機能分化
人口の高齢化とそれに伴う疾病構造の変化,あるいは医療技術の進歩と国民の医療に対する期待の高まりにより,先進諸国においては医療費の増大が問題となっている.さらに国民の医療の質への関心の高まりにより,単なる医療費増の抑制ではなく,質の高い医療サービスをいかに効率的に提供する体制を構築するか,具体的には地域内において住民のニーズに適切に応えるために医療施設の機能分化をいかに図っていくかが医療政策の課題となっている.2001(平成13)年施行の第四次医療法改正により,従来の「その他病床」は「一般病床」と長期にわたり療養を必要とする患者を入院させる「療養病床」とに区分されることとなった.病床の選択は2003(平成15)年8月31日までに各施設によって行われることとされたが,9月1日現在での病床区分届出状況は一般病床92.3千床(72.7 %),療養病床34.6千床となっている(27.3 %).
ただし,このような病床区分の再定義は将来のさらなる施設機能の分化に向けての第一ステップにすぎず,現在の病床を一般病床と療養型病床と単純に二分するだけでは不十分であると筆者は考えている.例えば,現在,特別養護老人ホームや老人保健施設における入所待ちが問題となっており,介護保険事業計画の見直しに際しては,その定員数の増加が議論されている.しかしながら,介護保険制度の本来の趣旨である在宅ケアの推進といった視点から考えるとこのような方向性は問題が多い.
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