特集 特定療養費制度の拡大と病院の対応
特定療養費制度の拡大と病院の対応
病院新築移転を機会に差額ベッド料の活用で入院環境整備
佐藤 眞杉
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1医療法人美杉会佐藤病院
pp.568-571
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100644
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180日超入院料の特定療養費化は患者と病院経営を圧迫
わが国の現物給付による国民皆保険制度は,平均的に良質な医療を,極めて良好なアクセスの下に,安価に提供している点で世界に類をみない優れた制度といえる.
医療財源の切迫とともにむりとむだ,制度疲労などが強く指摘され,さらに患者自己負担が増大して保険原理の維持が危うくなってきたとはいえ,数多くの調整を加えながら継続されてきた.特定療養費制度もそのような調整の役割を担った.
しかし改めて「特定療養費制度の拡大と病院の対応」と問われる時,200床未満病院が対応できるものはさして多くない.
また,特定療養費制度は本来患者の選択によるものであったが,180日超入院患者の入院料の一部の特定療養費化は,この原則を逸脱している.これは患者だけでなく一部の病院の経営を深刻に圧迫するものである.
高度医療や患者ニーズの多様化に対応する手段として混合診療の導入は行うべきでなく,特定療養費制度の拡大はやむを得ないが,諮意的に行われるのは困る.
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