新連載 医療安全管理の実践・1
医療の安全管理―新しい考え方(1)
長谷川 敏彦
1
1国立保健医療科学院政策科学部
pp.402-406
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100613
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このたった数年間に,日本の医療の質安全性をめぐる状況は大きく変化している.もはや今日,医療事故の予防は日本の医療界にとって最も重要な課題の一つになっている.事故を防ぐことは,すべての医療機関にとってこれまでも重要な課題であった.しかし1999年1月の某教育病院におけるあり得べからざる事故をきっかけに,事故の予防が国民的な関心事項となり,これまで積極的に取り組んでこなかった政府を含めて,全国民的な活動が始まっている.「治療を受けに来て逆に病気になるかもしれない」という患者の医療に対する不信感に医療界がどう応えていくかが問われている.
日本ではその後数年で,医療事故の課題に対し,急速な進展を見た.しかし実は,医療事故予防に関する取り組みは日本に限ったものではない.ちょうどここ数年間に,米英豪国では日本と同様に医療事故が相次ぎ,医療の質の実態が明らかになるにつれ,同様の世論の喚起を見,政府自らが総合的な予防戦略を策定するに至っている1~7).国際的に見て日本は第4番目に総合戦略を策定した国であり,カナダやシンガポールがそれに続いて近日策定予定となっている(表1).
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