特集 看護師のキャリアアップ
現場で役割を発揮する視点から
地域看護専門看護師の場合
山田 雅子
1
1セコメディック病院看護部
pp.372-374
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100606
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地域看護専門看護師の枠組み
まず論点に入る前に,地域看護専門看護師の資格の枠組みについて説明しておきましょう.地域看護とは,地域で生活されている方々を対象として,健康の増進,維持,改善を志向していくことを主眼において看護活動を行うことを言います.地域で生活されている方とはとても広い概念ですので,もう少し小さく分類していくと,産業保健(職場を切り口として健康支援を考える領域),学校保健(学校を切り口として健康支援を考える領域),保健行政(行政区域を切り口として健康支援を考える領域),在宅ケアの4領域に分けられています.現在,地域看護専門看護師の認定を受けているものは筆者を含めて2名ですが,そのどちらも在宅ケアの分野において,その役割が期待されている状況です.
在宅ケア領域は,この10年のうちに起きた二つの変化によって,大きく様変わりしました.つまり,1992年の老人保健法改正に伴う老人訪問看護ステーションの始動,それに引き続き,2000年の介護保険導入の二つです.筆者が訪問看護の仕事に従事することを始めた1980年代後半では,訪問看護サービスは,限られた病院で行われているボランティア(経費は病院からの持ち出しがほとんど)としての活動が中心になっていました.それが現在は,利用者(患者とは呼びません)と訪問看護師とが契約を結び,看護師はそれに基づいたサービスを提供し,それに対する対価をいただくという関係になっています.もちろん利用者からの苦情も頂戴しますが,なによりも訪問看護師が事業所の長として経営を切り盛りする立場となったことは大きな変化です.
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