特別寄稿
医療安全政策の国際動向とその方向性 5.苦情対応
藤澤 由和
1
,
長谷川 敏彦
1
1国立保健医療科学院政策科学部
pp.48-53
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100544
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これまで,医療事故情報の取り扱いに関する現状といった観点から,報告システムに関する動向と事故発生後の処理に関する補償制度の動きを報告した.報告システムに関する各国の動きは,事故を未然に防ぐための事前対応を可能にするための学習システムといった側面が強い一方で,補償の問題は事故発生後の,いわば事後的な事故情報の取り扱いという側面を持つといえる.今回は事後的な対応の一つとしての苦情対応,具体的には患者やその家族からの苦情の取り扱いやそれへの対応に関して海外の動向を概観することとする.
苦情対応の形態
商品やサービスに問題があると考えられた場合,消費者は商品やサービスを提供した当事者に対して,問題への対応を求めることが通常可能である.医療サービスにおいても同様に,医療サービスより生じたと考えられる問題への対応をサービスを提供した当事者に求めることは可能であるが,医療サービスの受け手である患者側が問題の核心を明確にすることは他の商品やサービスと比べて相対的に難しいことが多いと考えられる.
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