特集 医療政策の新しい潮流
今後の医療政策における予防給付
青柳 俊
1
1日本医師会
pp.26-30
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100540
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わが国における予防医療活動としては,母子保健法に基づく検診に始まり,就学期には学校保健,就労期には産業保健,壮年期には老人保健というように,それぞれの法律に基づく各種保健事業が整備されている.戦後,社会保障が徐々に充実されるにしたがって,これら各種制度が確立され,乳幼児死亡率の低下,寿命の延長などに寄与している.
一方,栄養摂取面を含む生活環境の向上,社会経済環境の変化などにより,わが国の疾病構造は急性疾患から慢性疾患へ大きくシフトしている.慢性疾患の発症予防,重症化などを防ぐためには,早期発見早期治療とともに,予防としての医療を積極的に介入させることが重要な対応となる.
本稿では,予防医療を疾病の治療と同様に健康保険などの公的医療保険(以下「医療保険」という)の中で保険給付化(現物給付)していくという視点を中心に,予防医療の充実に対する手法について考察を加える.
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