連載 医療ソーシャルワーカーの働きを検証する・11
患者と医療機関の期待に応えるMSW―MSW 雇用ニーズと退院援助101事例の援助効果をもとに
小嶋 章吾
1
1国際医療福祉大学医療福祉学部
pp.350-353
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100533
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医療ソーシャルワーカー業務指針と退院援助
医療ソーシャルワーカー(MSW)は,入院医療・在宅医療のいずれにおいても患者の療養生活の支援にとって重要な役割を演じている.
現状では精神保健福祉分野のみ精神保健福祉士(PSW)が制度化され,MSW全体をカヴァーする資格制度が未整備のため,社会福祉士資格で代替されることが少なくない.だが,MSW は少なくとも『医療ソーシャルワーカー業務指針』注1)が示す,6つの業務の展開が求められている(表1).
とりわけ医療機関の機能分化と在院日数短縮への圧力のもとで,転院や在宅医療への移行といった “移動を伴った医療”注2)が不可避となっている現状において,MSWへの期待は,“退院援助” に向けられている.MSWによる退院援助は,単に退院促進にとどまらない多角的な効果を生む.それは患者・家族への援助効果とともに,医療機関への貢献,さらには地域や社会への貢献も含まれる.
本稿では,2006年に筆者も参加して実施した医療機関経営者への MSWの雇用ニーズ調査と,MSWへの退院援助事例調査という,2つの調査研究結果をもとに,MSWによる “退院援助” とその多角的な援助効果が,医療機関の期待にいかに合致しているかを提示する.
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