講座 精神障害者福祉へのアプローチ・6
単身痴呆老人の退院をめぐるMSW援助の実際
大久保 孝彦
1
,
三井 伸治
1
Takahiko OKUBO
1
,
Shinji MITSUI
1
1城山病院医療福祉科
pp.329-333
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207050
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●はじめに
近年高齢化社会の進行に伴い,精神医療の分野では,青壮年期に発病し長期入院を余儀なくされた患者の高齢化や,老年期精神障害者の入院の増加などから,なかば老人病院化しつつある精神病院も多いと聞く1).筆者の勤務する病院(ベッド数201床,診療科目内科・循環器科・理学診療科)は,精神科をもたないが脳血管性痴呆を主とした老年期精神障害をもつ患者が少なくない.
さて,こうした患者の退院を促そうとしても容易でない場合がほとんどである.多くは痴呆に加えて身体機能障害を伴い,それだけ篤い介護が必要になること,一方では家庭内介護力の低下や在宅ケア施策整備の遅れといった状況があるからである.
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