特集 変革に立ち向かう病院―病床削減と人材難に対処する
「変わる病院」戦略的事例:医療連携 混乱の波涛の中から
佐藤 喜一
1
1財団法人仁泉会医学研究所
pp.336-338
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100529
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2001年の3月,私は岐路にあった.「日本の医療」の未来がどうしても判断できなかったのである.お金がなく高齢化と少子化が押し寄せてくるのは誰にでもわかることであった.医療を一次・二次・三次の階層集約化の方向にもっていく等,話題は数多くあったが,国民医療はどのようにあるべきなのか,厚生労働省(以下,厚労省)はその一番大切なビジョン(あるべき姿)を明示してくれなかった.私は,これからの激動の時代に立ち向かえるリーダーを選別していた.
翌4月,診療報酬改定が発表された.この時初めて,私はかつてない衝撃を受けたのである.国民医療の未来を心配するという生真面目な幻想どころか,ただひたすらお金をきりつめることしか考えていない.「日本の病院を潰す」というのは本気なのである.「明日からでも激流に投げ出されるのだ」と覚悟を決めた.
しかし考えてみれば,厚労省のお役人も大変だ.今まで高齢者医療費の無料化・必要性のない保養施設の建設など,前門には昔の政治・行政のムダ遣いがあり,後門には少子高齢化の難問の板ばさみの中で,出るはずのない答えを出さねばならぬのだから.
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