特集 救急医療その院内体制・1
二次救急医療施設の現状とあり方
渡辺 茂夫
1,2
1国立熱海病院
2社会保険中央総合病院
pp.749-753
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207237
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はじめに
救急医療体制を一次,二次,三次と分けるのは,あくまで取り扱い上の分類で,その機能を画然と分けることが困難であるのは言うまでもない.救急医療の本質は,あくまで「救命医療」にあり,最も速やかに,かつ確実に生命を救うという合目的治療の軌道に乗せ得ることである.したがって,一次救急体制が,その場に二次救急体制を併有していることが理想であるが,現在は,そこまで出来ている施設は少ない.現実には,一次救急施設は,多くは「急患センター」という形であり,そこで受け入れ可能なもの,すなわちそこで処置ができるものを扱い,入院や手術を要する患者は二次救急施設に搬送されることになる.つまり,一次救急施設では,速やかに傷病を評価,選別し,患者を最も安全な方法で二次救急施設に送らなければならない.この搬送secondary transportationは安全,確実であることが原則である.日本では,この二次搬送体制にも欠陥がある.それは,二次搬送用の救急車を常に動かせる体制にある病院が少ないためである.
日本の救急医療システムでは,通常,二次救急医療は入院可能な病院などが担当している.そこで,本稿では,二次救急医療施設としての病院(以下,第二次病院と記述)の現状を中心に分析していく.
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