特集 病院職員の需給関係
病院の人的構成の発達とその需給
島内 武文
1
1東北大学・病院管理学
pp.19-23
発行日 1968年9月1日
Published Date 1968/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203427
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はじめに
医療というものはわれわれの生命に関することであるだけに,その源は古く原始時代にもさかのぼることができるのであるが,その医療の場としての病院もかなり古いことが考えられる。しかし医療の場といっても,医療が単なる伝統的な段階においては,それは魔術医や僧尼の祈祷の場であり,あるいは身寄りのない老病者の収容の場であって,患者各自の住居や神殿・修道院などがそれにあてられていた。したがってそれは組織としてもまだ独立したものとはいえず,寺院や修道院の多面的な活動の一部をなしていたにすぎない。
それが近代において医学が目ざましい進歩をとげ看護に新しい合理性が取り入れられて,今日の科学的医療の時代になってくると,従来は単なる身寄りのない者のための収容施設であった寺院・修道院から,社会一般の人々のための科学的医療の場としての病院が独立して,今や最も文化的で,最も複雑高価に発達した医療施設としてわれわれの前にあらわれてきたのである。
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