特別寄稿
医療事故の報告と調査と公表について―私たちは何を求められどのように行動しなければならないか
相馬 孝博
1
,
上田 裕一
1
,
井口 昭久
1
1名古屋大学医学部附属病院
pp.476-479
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100315
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
医療の不信が社会に蔓延している現況においては,患者側から見て,診療過程での望ましくない結果は,すべて医療事故ではないか,過失を隠しているのではないか,という懸念が生じているのではないだろうか.「望ましくない結果」には,医療の不確実性の一端として許容されるべきものも含まれているはずであっても,医療者側が診療内容の透明性を確保し,患者との信頼関係を構築していなければ,失敗の弁解や逃避とされてしまうことになる.それでも私たちは,日々の診療を通じて,説明責任を淡々と果たしてゆく以外の方法はない.
本稿では,いかなる段階においても医療者―患者 ・家族間で開かれたコミュニケーションを行うという大前提のもと,「望ましくない結果」が発生した後に,病院組織として対応するための具体的方法をいくつか提示したい.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.