連載 リレーエッセイ 医療の現場から
外国人患者支援さまざま
成田 有吾
1
1三重大学医学部附属病院医療福祉支援センター
pp.1037
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100140
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●アジアからの外国人患者
三重大学附属病院に,医療連携・各種相談・苦情受付を業務とする医療福祉支援センターが立ち上げられて2年半になる.外国人患者をめぐる対応に簡単な答は見つからない.
K 君 6歳,アジアの島国の男児.アラジール症候群(肝内胆管形成不全症)があり肝硬変,肝不全状態で,病的骨折,腎不全も進行し,早急な肝移植が必要となり,現地医師から本院外科に紹介された.本年1月4日,肝胆膵外科の担当医師から当センターに相談があった.患者の両親が母国で用意したのは約700万円,全額自費払いとなる医療費,両親の滞在費,生活費を考えると不足していた.1月13日に来日され,医療ソーシャルワーカー(MSW)が日本での募金を提案,マスコミに協力を依頼し,支援の呼びかけが始まった.また,県内 NPO の協力を得て同国からの留学生4名を探し出し,言語および文化的支援を要請した.1月25日生体肝移植(ドナーは父)が成功,順調に経過した.マスコミを通じての寄付は十分に医療費の不足を補い,両親の滞在費や滞留ビザの更新申請等の諸費用をまかなうことができた.7月7日に無事に独歩退院した.支援の成功例であった.
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