プラクティカル・メモ
簡易装具による‘つまみ’の工夫
前田 守
1
1洞爺協会病院リハビリテーションセンター
pp.149
発行日 1972年4月9日
Published Date 1972/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104213
- 有料閲覧
- 文献概要
片まひの上肢機能改善の方法として,神経生理学的アプローチ,あるいは整形外科的手術,フェノールブロックなど,種々の試みが行なわれておりますが,それぞれ一応の効果はみられるものの,決定的手段としてはなお問題が残されているように思われます.したがって,OTの立場から,装具や自動具により,少しでもADLに役だつ機能にアプローチすることは,大きな課題であるといえましょう.
しかし,痙性や共同運動,各種の姿勢反射など,中枢性まひの特性から,従来の末梢神経損傷の際に用いられてきた装具のほとんどが,片まひには不合理な場合が少なくなく,ますます難しさを感じさせるところです.たとえば,手掌部のアタッチメントそのものが,把握反射を起こす要因となったり,母指対立位長手副子のような,Staticなものは,共同運動としての動きにブレーキをかけることになりかねないし,手関節掌屈位で,手指のrelease(あるいは,随意的伸展)が可能なものにアルミニウム製,あるいはプラスチック製の母指対立位短手副子を与えても,力性と随意性に欠けることを,日常,経験することが少なくありません.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.