書評
精神医療従事者の決意の書「精神科リハビリテーション」―江副勉監修
鈴木 明子
1
1リハビリテーション学院
pp.152
発行日 1972年4月9日
Published Date 1972/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104214
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渇望していた本がやっと世に出た思いである.精神症状を持った患者は,その症状とのたたかい,個性をはぎ取られる病院組織とのジレンマ,厚い壁で扉を閉ざす家庭,職場そして社会への弱い反抗にいつしか年月を院内生活で過すのが多かった.社会復帰病棟と呼ばれるのはほんの一部の病棟に限られ,全般的にみれば院内水準に適応させられ,できていることの継続を求められる,あくまでも患者としての存在しか認められない集団であった.
リハビリテーションは形ではない.どのように表面的に職員が活動を持込んでも,そこから個人としての(障害,または癖を持つ)存在を生かすことができないのである.理念こそ最も重要な部分であり,精神科リハビリテーションの真髄である.
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