講座
骨X線像の基礎知識(4)―股関節
大田 仁史
1
1東京医科歯科大学整形外科
pp.2-5,33-38
発行日 1972年2月9日
Published Date 1972/2/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104182
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股関節ほど新生児から高齢者に到るまで多くのX線像をみる部位はないでしょう.乳児から幼児にかけては先天性股関節脱臼に関するものが圧倒的に多く,10歳前後になるとペルテス氏病がありまたこれらの原疾患に起因した二次的な変形性の股関節症が思春期から青年期にかけ多くみられます.
股関節は起立歩行という動作で,常に体重の数倍の負荷を受けるため,このような変形は大かれ少なかれ進行していきますから,患者さんとしては滅りません.更には,リウマチ,結核といった関節炎を主体に関節の機能が障害される人,あるいは退行変性そのものによる変形性股関節症,骨頭の血行障害による無腐性の壊死など重要な疾患がたくさんあります.老人になればわずかな外傷によって起こる大腿骨頚部骨折は,きわめて多く,しかも重大な骨折の1つでもあります.これらの代表的な疾患をすべてにわたって供覧することはとても不可能なことですが,できるだけ多くのX線像をかかげました.大腿骨頚部骨折に関しては次回の骨折のところで述べることとし,今回は割愛いたしました.
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