プログレス
レーザー医学の進歩
西坂 剛
1
1東京農工大学保健管理センター
pp.537
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104080
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1960年,新しい光源としてのレーザー(laser;文末参照)が誕生した.このときから,癌治療に対する大いなる期待とレーザー研究開発におけるヒトの目や皮膚の安全対策の必要性により,レーザー医学は始まったと言ってよいだろう.以来30年,各種の基盤的科学技術の進歩と相まってレーザー医学は新しい局面を迎えている.
ここでは最近のホットなトピックスのいくつかを紹介しよう.ここ2,3年,レーザー医学で関心の高い分野はレーザーを利用する血管手術である.細い縫合糸を用いること無く,レーザーにより血管をつなぐ血管吻合術はすでに確立された方法として日常の手術に応用されている.レーザー血管吻合術によると,従来多かった手術後の血管の閉塞や狭窄も少なく,手術時間もたいへん短くなる.また,動脈硬化に伴う血管内粥腫は高齢化社会や食生活の欧米化に伴い増加しており,レーザー動脈内手術法に関する研究は世界的なトピックスである.
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