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はじめに
英国のPhysiotherapy誌は,今年で73巻を迎える.同誌掲載論文数は,1964~82年の19年間に1018論文,発行回数は年12回である.米国のPhysical Therapy誌は1964~82年の19年間に,887論文(発行回数は年12回),カナダのPhysiotherapy Canada誌は1975~82年の8年間に135論文で,発行回数は年5~6回(1978年より6回)である.研究領域で比較すると,英国誌では,上記19年間に全論文数の25~30%が理学療法に関する内容であり,米国誌もカナダ誌もほぼ同様である.検査・測定は,三国とももっとも研究領域の小さな分野であり,基礎(生理・運動学)に関しては,米国誌は英国誌,カナダ誌よりも比率が高く,理学療法の理論的裏付けとなるような内容が多い.疾患別領域で比較すると,三国すべてにおいて疾患外の論文が50~70%を占めている.整形外科疾患は,三国ともにもっとも高い率(20~30%)であり,中枢性疾患は心臓,肺疾患とほぼ同率の5~7%である.論文内容別で比較すると,米国誌では1964~68年の5年間に259論文のうち16%が実験論文であり,1969年から40~50%と大幅に実験論文の数が増えている.英国誌では,上記19年間に5%前後しか実験論文はみられない.カナダ誌の実験論文は,上記8年間で40%である.技術論文では19年間で,米国誌は約10%,英国誌は5%しかみられない.総説論文(実験,技術論文に含まれないもの)は,三国でもっとも多くみられ40~90%(英国誌は90%)と高率である.以上は筆者が第18回理学療法士学会のシンポジウムで発表した内容の一部である.その後のPhysiotherapy誌の構成には大きな変化はみられない.これらのことから,同誌は実験論文が少なく,総説論文が多いことが特徴と言えよう.
1986年のPhysiotherapy誌では,12号中7号が特集として組まれているが,できるだけ多くの論文を紹介することにする.
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